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​ポスト
トリセツ2024.6

​わがまま差出道具型式説明

型式番号 YIWJ-01​

     

前のめり気味に取り掛かってみたポストの先行試作型。小型スピーカーからの音声は弱く、その調整は終盤まで続く。ハガキサイズを参考に作られた投函口は、B6用紙までをカバーするも実際はB5用紙を二つ折りにして使うことになる。改良モデルからはA5用紙をそのままいれられる構造に落ち着くが、それでも尚、二つ折りにして投函する姿はたびたび見られた。これは内心を隠したいという人間の本質を表す自然な行動であり、面白い発見でもあった。

型式番号 IWJSX-02

〈気まぐれ八百屋だんだん〉のSAWADAによりカスタマイズされたポスト。選りすぐられた新聞紙面とボンドで作れた装甲は意外なほど硬い。接合部に残されたスリットや強度を上げるために波板状に加工されたうねうねボディーは、湿気に対する弱さと引き換えにはからずもファニーな雰囲気を獲得する。投函口は電池パックを採用した初期型で仕様面ではまだまだ課題が多く、設計から再検討せざるを得なくなった。のちに投函口という足枷を外したポストは、新聞紙製のサンバイザーで武装した生みの親と共に裸一貫で戦場にそり立つ。

型式番号 IWJFX-02 IWJF-03

〈図画工作〉のFUJITAによりカスタマイズされた重装備ながら高機動性を確保したポスト。装甲はホームセンターで手に入るダンボールになり、下地にピンク色を散布することで外装の耐水塗料はよりいっそう発色を帯びた薄墨色に輝く。側面には用紙とバインダー、上部には取っ手とショルダーアタッチメントを備えた何とも豪華な出で立ちで、最後に鉛筆を箱ごと装着されることで忘れ物知らずとなった。のちに屋外使用を考慮しモバイルバッテリーが採用され、さらに活動フィールドが広がった。

型式番号 IWJAX-03

​シェルフ格納型として考案されたが、抹消されたポスト。投函口はそのままに全体の大きさは極限までにスリム化され、新聞紙型【IWJSX-02】を量産する過程でのサンプルモデルとしての役割もあった。装甲には安価なセria製のMカリ用梱包材が使用されたが、まさかの流通の不安定さと本プロジェクトの方針転換も重なりどちらにしても立ちゆかなくなっていった。

型式番号 IWJA-04

これは提案ではなく作家本人がただただ表現したポスト。特徴的な上部のカップはメガホン型のスピーカーになっており、糸電話のように伸ばすことで投函者の耳元に直接音声を届ける工夫がなされている。基盤や投函口の設計は見直すことなく既存の応用で新たな武器を手に入れた。装甲はDイソー製のダンボールになり、製品規格は活かしつつも表面を裏返してから再加工している。こうしてできた無地の箱は一見簡素に見えるも、そのたたずまいは技巧品そのものだ。時折カップを寝かせるとポストから構ってほしげな表情が現れ、これはこれでじわる。

これらの創作物は「TURN LANDプログラム」(だんだん)で実施されたプロジェクト【池上わがまま準備室】により提案され​使用されてきた「対話のきっかけ」を作るための道具の1つである。使われる場所や利用者に応じていつでもリニューアルしてもらうことを念頭に置き、専門性に特化した技術を使うことなく入手しやすく扱いやすい素材で提案されている。他人の手が入る余地を残した道具制作からは、主体性を持った表現活動を後押しするという意味合いも込めている。​

プロジェクトで制作された他の道具紹介

準備室物品一覧 IWJA-11 はQRコードで読み込む形式のモバイル道具説明書になっている。本来はプロジェクト内で作られたファイルから読み取ることを想定しており、前半は内容が重複する箇所があります。本サイトからもリンクは設定しておりませんのでのコードから覧ください。

「わ がままを準備する」

 紙芝居を絵本形式にまとめたチュートリアルブック

「わ道入門」

テーマを深掘りし考察したコンセプトブック

本プログラムは、東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、一般社団法人谷中のおかってが主催する「TURN LANDプログラム」の一環で実施しています。https://turn-land-program.com/

実施協力:途草会 レポート詳細1   レポート詳細2   

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